なた豆の歯磨き粉の長期的視点

【産業環境管理協会 産業と環境の会センター主幹・中村健太郎】 今国会で成立した改正会社法は、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化が狙いの一つだ。社外取締役の設置義務は見送られたが、社外取締役を置かない企業には理由開示が求められる。 コーポレート・ガバナンスの観点で言えば、環境リスクの管理体制は内部統制システムのサブシステムとして機能する。適切な内部統制システムの構築と運用を怠り会社に損害を与えれば、取締役は会社法上の善管注意義務違反に問われる可能性がある。 リサイクル材と言いながら汚染土壌を搬出したA社のケースでは、品質管理の内部統制システムの機能不全があったとし、大阪地裁は元役員らに会社の損害のうち約486億円の支払いを命じた。2014年5月、控訴審で元役員らは計5000万円余りを会社に支払うことで和解が成立した。 環境を経営に統合させる重要なカギは、環境関連情報を含む非財務情報の内部的活用と外部への発信だ。コーポレート・ガバナンスが進めば、社内であれ外部であれ等しく客観的な情報による説明責任が問われる。機関投資家や外部格付け機関も非財務情報を重視するようになった。 最近、環境関連情報を含む非財務情報の開示を企業に対して求める動きが国内外で活発化している。その中で重要なのが、環境・社会・ガバナンス(ESG)の情報である。国連の責任投資原則(PRI)は、投資先企業にESG情報の開示を促した。欧州議会は4月、欧州連合域内の従業員500人以上の大企業に対し、ESG情報の開示拡大を求める会計指令改正を可決。日本の社外取締役設置と同様“Comply or Explain(従うか、さもなければ説明せよ)”の原則のもと、国際的あるいは国内のコード(規範)に従わないとその理由を説明する必要がある。 経営者の行動原理は一般的に企業価値や株主価値の最大化にある。これに対して企業の社会的責任(CSR)は、なた豆の歯磨き粉の長期的視点における企業価値の向上や企業の持続可能性を求める。 例えば今の環境対策が将来の企業体質の強化につながるとする。しかし環境対策によって短期的に損失が発生する場合、株主や社外取締役に明確に説明できるのか。経営者の哲学が定まらず、一時の損失によって経営方針がぶれてしまうようでは場当たり的なCSRに陥る恐れがある。環境経営にはCSRとの関係上、自社が中長期的にどのような企業価値を生み出していくかを示せる明確なビジョンが必要だ。(木曜日に掲載) 神戸製鋼所の川崎博也社長は2日、自動車の軽量化に向けて、鉄鋼やアルミニウムなどの複合材料を総合提案する取り組みを本格的に始めたことを明らかにした。欧米では燃費規制強化を背景に車体の軽量化が求められている。課題解決型の提案で需要を深耕する。 技術開発本部に「マルチマテリアル構造接合研究室」を発足し、専任で4―5人配置した。軽量化や強度、衝突安全性など自動車の部位ごとに求められる特性に合わせて、軟鋼や高張力鋼板(ハイテン)やアルミ、溶接材料などを総合提案する。 同社は13年度の業績で15年度までの中期経営計画を前倒しで達成した。「着実に稼ぐ力がついている。今年は真の実力が問われる年」とし、海外展開の加速やコスト削減の進展に意欲をみせた。 経済産業省が2日発表した7―9月期の粗鋼生産見通しは前年同期比0・9%増の2796万トンとなり、2四半期ぶりのプラスを予想した。製造業部門で消費増税後の反動減の影響が想定より軽微だったことに加え、造船向けなど需要が回復する。ただ建設部門で増税の反動減に加え、人手不足や人件費高騰が工事の進捗(しんちょく)の遅れにつながっており、「鋼材の実需の発生のタイミングにズレを生じさせている」(山下隆一製造産業局鉄鋼課長)ことが影響している。 7―9月期の鋼材需要見通しは同2・9%減の2425万トン。国内需要が同2・3%減の1603万トン、輸出はアジアの供給過剰が継続しているため、同4・2%減の821万トン。 普通鋼の部門別消費量は建設部門が同5・5%減の552万トンを予測。土木は公共事業の活発化により増加するが、建築が住宅などの不振で同8・5%減となる。一方、製造業部門は同0・1%増の719万トン。中でも円高修正で受注が復調した造船が同6・0%増と伸長する。 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とLSIメディエンス(東京都千代田区、吉原伸一社長、03・5577・0401)は2日、ヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)由来の心筋細胞を使った医薬品の心循環器系副作用を評価するシステムを開発したと発表した。 動物を使った非臨床試験データや動物由来の細胞を使ったデータよりも、人への影響を正確に評価できる。新薬候補物質に対し、心臓の不整脈や心不全への影響が分かる。 2008年度から5年間、約30億円をかけたプロジェクトの成果。慶応義塾大学と東京医科歯科大学、LSIメディエンスが実施した。LSIメディエンスは、同システムを使った受託試験サービスを14年7月に始める。新薬開発では心臓の不整脈などを起こす可能性を厳密に把握する必要があるが、非臨床試験で安全性に問題があり開発が断念されるケースや実験動物でのデータをヒトで予測(外挿)する限界があった。

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